今年の大阪場所は稀勢の里の優勝で幕を閉じた。
千秋楽では、照ノ富士関と稀勢の里関の両者が持ち味を発揮して、ぶつかり合い、見事な相撲を披露した。特に照ノ富士関は、観客みんなが稀勢の里関を応援する中でさぞかし戦いにくかったと思われる。その状況下でけれんみなく稀勢の里関にぶつかっていった照ノ富士関の潔さに拍手を送りたい。
稀勢の里関が勝った時、喜びを大きく表さなかったのも大変よかった。照ノ富士関の気持ち、立場を配慮したのだろう。同情したのではなく自分の気持ちをその場では抑えたのが素晴らしい。
これこそ武士道だ。
米国では、イチローがホームランを打った時にガッツポーズをせず、静かにバットを置いて静かに一周する。打たれたピッチャーも自分も野球を愛する仲間だ。勝負は時の運だということでイチローは派手な喜び表現をさけている。アメリカの人は不思議に思う人もいるらしいが、中にはこれを評価する人も多いと聞いている。
今の日本人が忘れてしまっている惻隠の情を、この二人が我々日本人に対して示したことは素晴らしい。